このAメロとそのBメロを繋いでください

中学生のころ。
だんだんテレビで流れている歌謡曲以外の、色々な種類の音楽を聞くようになってきて、近くのレンタルショップからレコードを借りてきて、それをテープにダビングして集めたり、音楽の趣味のあう友達の家へ行きギターを練習して遊んでいた。
友達の家には音楽雑誌が沢山あって、当時流行っていたヘビーメタルバンドのインタビューなんかが載っていたのでよく読んだ。その中で、ある卑猥な名前のついたバンドで作曲をしている人物の言葉の中に、ひとつ印象的なことが書いてあったので、そのことをよく思い出す。
それは要約するとこんな内容だったと思う。
「曲には大体AメロとBメロの2つのメロディーがあって、俺が作曲する時に気をつけているのは、その2つのメロディーを合体させる時のつなぎの部分だ。いくらABのメロディーが良くたって、つなぎの部分が悪きゃ展開が台無しさ。逆につなぎが良けりゃ、AメロBメロが大したことなくてもすげぇ良い曲になるんだぜ」
へぇ、こんなドブの臭いのしそうな名前のバンドでも色々考えてるんだなぁと驚き、それから音楽を聞く時には、その「つなぎ」の部分を注意して聞くようになった。
すると、意外にもそいつが言うように、ひとつの曲の中には色んな構造があることに気づいて、なるほど、確かに「つなぎ」には重要な役割があるように感じた。
そうして自分なりに様々な発見をし、時にはそのことについて偉そうに講釈をたれることもある。
「そこまでわかってるんだから、作曲でもしてみたら」と妻。
そういわれても、曲を作ったことはないし、曲を作る予定もない。
そうなのよ。
ただ言いたいだけなのよ。