二つの出来事

駅に向かう途中のある通りで、ここを何か通ることが出来るのか、というような細い隙間から二人の男性が出て来た。どちらも50〜60代くらいの白髪の混じった頭に、一人は背の高い、もう一方は背の低い二人組で、グレーの作業着のような、腕の部分がダブついたサイズが大きめのジャンパーを羽織っていた。
僕は何度もここを通ったことがあったのに、二人が出て来た隙間に一度も気づいたことがなかった。
それほど細い隙間だった。
彼らが行った後、その隙間を覗いてみたけど、暗くてほとんど何も見えなかった。
あまりに唐突に、意識の外からこちらの世界に入って来た人達を見て、なんだか空間がおかしくなってしまったんじゃないかと思った。
息子のなっちろと毎日風呂に入っている。
風呂に入っている間、なっちろは呼びかけても全く気づいてくれない。
意識がどこかへ飛んでいってしまっているように、大概、風呂の天井の角の一点を見つめて何かを見ているような表情をしているので、僕はなんとかしてこちらの方へ意識を戻そうと大袈裟にくすぐってみたり、まあるいほっぺたに噛み付いてみたり、色んなことをしてみるんだけど、心ここにあらずといった顔の彼。
足を時々動かして、かえる泳ぎのような仕草をするが、水の感触に浸っているような感じでもない。
一体何を見ているんだろうか。
何かをそこに感じているんでしょうか。
ちょっと繋がっているんじゃないかと思った出来事二つ。
知っているようで見えてないことがあるかもしれない。

駅に向かう途中のある通りで、ここを何か通ることが出来るのか、というような細い隙間から二人の男性が出て来た。どちらも50〜60代くらいの白髪の混じった頭に、一人は背の高い、もう一方は背の低い二人組で、グレーの作業着のような、腕の部分がダブついたサイズが大きめのジャンパーを羽織っていた。僕は何度もここを通ったことがあったのに、二人が出て来た隙間に一度も気づいたことがなかった。それほど細い隙間だった。彼らが行った後、その隙間を覗いてみたけど、暗くてほとんど何も見えなかった。あまりに唐突に、意識の外からこちらの世界に入って来た人達を見て、なんだか空間がおかしくなってしまったんじゃないかと思った。

息子のなっちろと毎日風呂に入っている。風呂に入っている間、なっちろは呼びかけても全く気づいてくれない。意識がどこかへ飛んでいってしまっているように、大概、風呂の天井の角の一点を見つめて何かを見ているような表情をしているので、僕はなんとかしてこちらの方へ意識を戻そうと大袈裟にくすぐってみたり、まあるいほっぺたに噛み付いてみたり、色んなことをしてみるんだけど、心ここにあらずといった顔の彼。足を時々動かして、かえる泳ぎのような仕草をするが、水の感触に浸っているような感じでもない。一体何を見ているんだろうか。何かをそこに感じているんでしょうか。

ちょっと繋がっているんじゃないかと思った出来事二つ。知っているようで見えてないことがあるかもしれない。