手首の角度

包丁を研ぐ時に気をつけるのは刃と砥石の接地する角度が一定であることだ。
刃の角度が綺麗だと、その美しさと比例して切れ味も鋭くなる。
刃物は美しさと、その性能の善し悪しが一致しているところが素敵だなと思う。
包丁を研ごうと思って、数時間まえからバケツの水の中へ砥石を浸しておいた。
その砥石を流しの台の上へ置き、砥石の上に薄らと水を張る。
刃を砥石の上に置き、自分の側から前方へ向けて刃を押す。
「しゃん」と刃と石の擦れる音。
そのまま数回「しゃん」を繰り返し、刃の具合を見る。
具合がよければ、その角度を保ってその動作を繰り返していく。
「しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ」と一定のリズムで音を刻み続ける。
僕は、刃の先を見るよりは、手首に意識を持っていった方が上手く研げるような気がする。
ぐーっと意識を手首だけに集中して、体は一定の動きしかしない。
すると途中でどんどん頭の中が真っ白になってしまうので、僕は包丁を研ぐための機械になってしまったかのように錯覚する。
時間の感覚がなくなってしまう。
永遠というのはこんなところにあるんじゃないかなと思った。

包丁を研ぐ時に気をつけるのは刃と砥石の接地する角度が一定であることだ。刃の角度が綺麗だと、その美しさと比例して切れ味も鋭くなる。刃物は美しさと、その性能の善し悪しが一致しているところが素敵だなと思う。
包丁を研ごうと思って、数時間まえからバケツの水の中へ砥石を浸しておいた。その砥石を流しの台の上へ置き、砥石の上に薄らと水を張る。刃を砥石の上に置き、自分の側から前方へ向けて刃を押す。「しゃん」と刃と石の擦れる音。そのまま数回「しゃん」を繰り返し、刃の具合を見る。具合がよければ、その角度を保ってその動作を繰り返していく。
「しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃん、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ、しゃっ」と一定のリズムで音を刻み続ける。僕は、刃の先を見るよりは、手首に意識を持っていった方が上手く研げるような気がする。ぐーっと意識を手首だけに集中して、体は一定の動きしかしない。すると途中でどんどん頭の中が真っ白になってしまうので、僕は包丁を研ぐための機械になってしまったかのように錯覚する。時間の感覚がなくなってしまう。永遠というのはこんなところにあるんじゃないかなと思った。